知識ゼロからのインターネット販売!ネットショップ開業の流れ・手続き

2021年11月29日(公開日:2021年9月24日)

スマートフォンの普及もありインターネット通販などのEC市場は年々拡大傾向にありましたが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響による巣ごもり消費によりネット需要が一段と拡大しました。


特に物販系分野は2019年からの伸長率が21.71%、EC化率 8.08%(※)と需要の高さが見受けられ、これからインターネット販売を始めようと考えている人にとっては追い風とも言える状況です。


※参照:経済産業省「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

以前に比べネットショップの開業ハードルは下がってきており、個人や規模の小さな会社でも始めやすいのですが”知識ゼロ”からでは戸惑ってしまうことも多いはずです。


そこで、ここでは「ネットショップ開業に必要な手続き」「ネットショップのやり方」「インターネット販売の注意点」「インターネット販売にまつわるサービス」などを詳しく解説していきます。


ネットショップの開業・運営にぜひ役立ててください。

ネットショップ開業の流れ

「ネットショップを開きたいけれど、何から始めたらいいのか分からない」
このような”知識ゼロ”からのインターネット販売初心者は、全体像を掴むためにネットショップ開業の流れをチェックしてみましょう。

1.ネットショップのコンセプトを決める


まずはじめにするべきことは「コンセプト」を決めることです。


・販売する商品/サービスは?
・どんな人をターゲットにしたいのか?
・他のネットショップとの差別化(個性、魅力、強みを明確に)
・サイトのイメージ
‥etc.


そして、コンセプトを決めながら「ショップ名」も一緒に考えていきましょう。


◎point:覚えやすい名前、扱っている商品がイメージできる名前、オリジナリティのある名前

2.出店方法を決める(開業場所)


ネットショップを開業するためのサービスを決めましょう。大きく分けて「モール型」と「ASPショッピングカート型」があります。


※詳しくは『インターネット販売にまつわるサービス』で紹介します。

3.開業手続きを行う


個人でネットショップを始める場合は副業であっても税務署に「開業届」を出す必要があります。※開業届は必ず提出しなければいけないものではありませんが、提出すると確定申告で節税効果の高い”青色申告”が可能となります。
また、ネットショップで扱う商品によっては行政に届出が必要です。


※詳しくは『ネットショップ開業に必要な手続き』で紹介します。

4.商品の準備


ネットショップで取り扱う商品を準備しましょう。
ハンドメイドなどオリジナル商品を作る、または商品を仕入れるのいずれかになります。

◆仕入れ先の例:インターネットの仕入れサービス、卸問屋、海外から個人輸入、見本市・展示会、メーカーや作家から直接
商品を準備したら併せて値段決めをしましょう。仕入れ価格や手数料を考えながら利益の出る値段設定とすることが大切です。

5.決済方法を導入する


「クレジットカードが使えないなら買うのをやめよう」
このように離脱されてしまうことのないように、顧客が利用しやすい決済方法を導入しておくことで”購入”に繋がりやすくなります。


【ネットショップで導入すべき決済方法】
・クレジットカード(VISA・MasterCard・JCB対応)
・代金引換
・コンビニ決済
・銀行/郵便局振込

6.配送方法、包装・梱包用品の準備


商品を届ける配送方法と商品サイズに合った包装・梱包用品を準備しましょう。


【主な配送方法】
・宅急便(ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、日本郵政など)
・メール便(クリックポスト、ネコポス)


そして、「送料」がいくらであるかも顧客は気になります。サイズ・重量・配送地域により配送業者ごとで送料が異なる場合もあるので、比較して送料を少しでも安く抑えられるようにしたいところです。

インターネット販売にまつわるサービス

費用面や難易度などを考慮した上で、個人や規模の小さな会社がネットショップを開業する方法は以下の2つの選択肢が考えられます。


◆モール型
◆ASPショッピングカート型

【モール型】楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなど


ECショッピングモールに間借りしてお店を開く方法。楽天市場やAmazonなどの巨大ECショッピングモールに出店できるため集客力が高く売上を上げやすいことが特徴です。


しかし、デザインや細かなルールの制約が多くオリジナリティを出しにくいことや他店舗との競争が激しいこと、手数料や出店費用などの運営費が高いことがデメリットでもあります。

【ASPショッピングカート型】BASE、STORES、カラーミーショップなど


ネットショップを運営していくために必要なショッピングカートや受注管理システムなどを提供してくれるサービス。簡単操作でオリジナリティのあるネットショップが作れることや、初期費用・月額費無料から始められるサービスもあり費用を抑えられることが大きなメリット。


モール型とは異なりASPショッピングカート型は独立したショップとなるため集客力が弱く、売上を上げるまでに時間が掛かりやすい傾向にあります。

モール型、ASPショッピングカート型どちらにもメリット・デメリットはありますが、ネットショップ未経験からの開業ならばリスクが低く誰でも始めやすい「ASPショッピングカート型」がおすすめです。


デメリット部分となる集客力ですが、SEO対策やSNSなどを効果的に活用した”ネット集客”を実践することでカバーしていくことも可能です。

ネットショップ開業に必要な手続き【申請許可が必要な商品】

ネットショップで取り扱う商品によっては関係機関に届出(販売許可・資格・免許)が必要なケースがあるので、事前によく確認しておきましょう。

【資格・許可が必要な商品】
□食品(手作りのもの、乳製品、肉類、魚介類など)《保健所》
資格:食品衛生責任者/許可:食品衛生法に基づく営業許可
※許可なしOK→農作物、冷凍食品、レトルト食品、スナック菓子、缶詰、お茶・コーヒー、ペット用食品など

□健康食品(自宅で健康食品を製造する場合)《保健所、都道府県の薬務課》
資格:食品衛生責任者/許可:なし
※許可なしOK→パッケージ済みの加工品

□酒類(アルコール度数1%以上の酒類やみりんなど)《税務署》
資格:なし/許可:酒類の販売業免許

□中古品(販売目的で購入したもの:美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自転車類、写真機類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類)《警察署》
資格:なし/許可:古物商許可

□ペット類(哺乳類、鳥類、爬虫類などの動物)《動物愛護相談センターなど》
資格:動物取扱責任者/許可:動物取扱業

□医薬品(ネットショップでは第二類医薬品、第三類医薬品のみ)《保健所、都道府県の薬務課》
資格:薬剤師、登録販売者など/許可:薬局開設許可、医療品販売許可、特定販売届出など

□化粧品(化粧品を製造する場合)《都道府県の薬務課》
資格:なし/許可:化粧品製造販売許可、医薬部外品製造販売許可
※許可なしOK→国内の化粧品を仕入れて販売する

□輸入品(食品、動植物(昆虫類や魚類含む)、食品が触れるもの(食器やカトラリー、バーベキューセットなど)、ベビー用品、酒類、毛皮・皮製品)《保健所》
資格:食品衛生責任者など/許可:食品衛生法に基づく営業許可など

インターネット販売の注意点

インターネットで商品を販売する際には、先ほど紹介した関係機関に届出(販売許可・資格・免許)が必要な商品の確認以外にも幾つか注意しなければいけないことがあります。

【誇大広告に注意!】


実際に販売している商品(サービス)よりも優れている、有利であると消費者が誤解しかねない表記を用いた宣伝広告をしないようにしましょう。


(例)限定ではないのに「●●人限定!」/いつも同じ価格なのに「●●日まで特別価格」/外国産なのに国産と偽る/「着るだけで必ず痩せる!」など

【必要的記載事項を表示する】


インターネット販売では必要的記載事項を表示することが義務付けられています。商品により多少異なりますが以下の記載内容となります。


・販売価格
・送料
・その他購入者が負担する費用(振り込み手数料など)
・代金の支払い方法、支払時期
・商品の引渡時期(到着までにかかる日数)
・返品の特約に関する事項
・事業者名
・事業者住所
・事業者連絡先
・注文方法
・返品期限
◎商品ごとの主な記載項目
・食品‥名称、原材料、アレルゲン表示、内容量、販売者
・洋服‥「家庭用品品質表示法」に従い繊維の組成(材料)の混合率などを表示
・電気コード‥「電気用品安全法」で定められた表示
‥etc.

【時間に余裕を持った行動を】


モール型やASPショッピングカート型といったサービスは、専門的な知識を持っていなくても手軽にネットショップを開業できる点が優れていますが、モール型の楽天市場を例に取ると出店申し込みから手続き・準備・審査を経てショップがオープンするまでに1~2ヶ月程掛かると言われています。


また、ネットショップ開業に必要な手続きに関しても「食品衛生責任者」は講習を受けるだけで即日交付されますが、「酒類の販売業免許」は書類の作成から免許の付与までに3ヶ月程、「古物商許可」は6~8週間掛かります。ネットショップ開業には時間に余裕を持って準備を進めていくことが大切です。

【セキュリティ】


ネットショップなどインターネットで怖いのが「情報漏洩」です。”顧客情報の流出”といったニュースを見かけることがあると思いますが、そのようなことが一度でも起こってしまうと信用・信頼を失います。

セキュリティ対策は万全にしておきましょう。

【著作権侵害】


他サイトの画像や文章をそのまま使用してしまうと著作権侵害に当たる場合があるので注意が必要です。画像や文章はオリジナルのもの、フリー素材を使用する。または引用表記などを行うようにしましょう。

【安定性】


ネットショップに訪れたお客さんの立場になって考えてみましょう。サイトの表示速度が遅いネットショップを利用したいと思いますか?見たいページに問題なく移動できる、画像がすぐに読み込まれる‥など安定したサイトがより好まれます。サイトの表示速度にも気を配ることが大切です。

【スマホ対応】


インターネットの利用環境調査では9割以上がスマートフォンを利用しており、ネットショップに関しても”スマホ対応”していることが大前提です。パソコンからの見え方だけでなく、スマホからの見え方も必ずチェックすることが重要です!

ネットショップのメリット・デメリット

実店舗ではなくネットショップを開業することのメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。

【メリット】


・日本全国、世界中に向けた販売が可能
・いつでも(24時間・365日)稼働できる
・実店舗を構えるよりも低コストで始められる
・販売スペースが必要ない(※在庫を保管するスペースは必要)
・顧客情報からメルマガなどで継続的にアプローチしやすい

【デメリット】


・実店舗よりも価格競争が激しい
・対面によるコミュニケーションが取れない
・最低限のWEBスキル、知識は必要
・積極的にWEB集客をしていかないと軌道に乗るまで時間が掛かる

インターネット販売を成功させるためには?

ネットショップは実店舗と比べ低コストで開業させることができ、万が一の場合でも閉業しやすいことなど低リスクで始められます。
そうは言っても、オープンさせたからには成功させたいと思いますよね!

成功しているネットショップは‥
□SEO対策をしっかりと行っているため集客力がある
□SNSを活用した集客を行っている
□サイト構築がしっかりしている(訪れた人が使いやすく見やすいサイト)
□レスポンスが早い(問い合わせ対応、商品発送)
□リピーター顧客の獲得(お礼メール、メルマガ、DMなど)

これらの対策を確実に行っていくことで、ネットショップに訪れた人の心を掴み”売れるネットショップ”になっていくのです。

ネットショップを開業してからがスタート!

インターネット販売のための『ネットショップ開業の流れ』はお分かり頂けましたか?


大変そうだな‥と思うかもしれませんが、インターネット販売にまつわるサービスがどんどん多くなってきているので、それらのサービスを上手に活用することで比較的スムーズに開業まで進めていけるはずです。


ネットショップをオープンさせることで一段落つきたいところですが、大切なのはオープンさせてから!
オープンしたからといって勝手に集客できるほど甘くはありません。インターネット広告やSNSなどで効率良く集客をしていき成果に繋げましょう。